近年、日本各地で地震が頻発しています。京都府も例外ではなく、南海トラフ地震などの大規模地震への備えは急務となっています。
『古い建物だから不安…』『倒壊リスクを減らすために、今何をするべきか』
『耐震補強て高そうだけど放置するのはもっと怖い』
そんな京都府内の工場・倉庫・生産施設管理者の方へ向けて今回は、
耐震補強の必要性、京都府の耐震事情、主な補強工法と費用、補助金制度をご紹介します。
1. 京都府における建物の耐震状況と課題
これまで京都府は、全国的に見ても比較的地震の少ない地域とされてきました。しかし、近年の地震学的な研究により、京都府も決して安全とは言えないことが明らかになっています。特に、南海トラフ地震や活断層による直下型地震への警戒が高まっており、耐震補強の重要性が急速に高まっています。
● 南海トラフ地震・直下型地震のリスク
政府の地震調査委員会の発表によれば、今後30年以内に南海トラフ巨大地震が発生する確率は70〜80%とされており、これは「いつ起きてもおかしくない」段階です。南海トラフ地震が発生すれば、震源から遠く離れた内陸部である京都府でも震度6弱~6強程度の揺れが発生すると想定されています。
また、京都府内には多数の活断層が存在しており、その中には上牧断層帯(京都市南部)や花折断層帯(京都市北部)など、マグニチュード7クラスの地震を引き起こす可能性がある断層もあります。こうした断層による直下型地震は、揺れの到達が早く、被害が甚大になる傾向があるため、特に注意が必要です。
● 京都府内でも震度6クラスの揺れが想定される地域が多数
たとえば、京都市・舞鶴市・宇治市・福知山市などの主要都市では、南海トラフ地震や内陸地震により、震度6弱以上の強い揺れが想定されています。これは、旧耐震基準(1981年以前)の建物にとっては倒壊・大破の危険性が非常に高い揺れです。
特に工場・倉庫・オフィスビル・商業施設などの大型建築物は、被害が出れば従業員や来客の安全に直結し、事業継続にも大きな支障をきたします。また、災害発生後に建物が使えなくなると、復旧までの時間やコストが大きく膨らむというリスクもあります。
● これからの備えとして、今が最も重要なタイミング
大地震は「いつ起きるか」ではなく「いつ起きてもおかしくない」という前提で備えるべき災害です。特に近年は、熊本地震や能登半島地震のように、事前の想定を超える揺れが発生し、大きな被害をもたらしている例も少なくありません。
だからこそ、今のうちに耐震補強を進めておくことが、企業や施設の「命と経営を守る」最も現実的な対策になります。地震は防ぐことはできませんが、被害を最小限に抑える備えは、今すぐにでも始めることができます。
● 工場・施設の耐震化は「事業継続」の鍵
工場や事業所が被災した場合、以下のようなリスクがあります。
• 機械設備の破損 → 生産停止
• 在庫・製品の損失
• 社員の安全確保が困難に
• 取引先からの信用失墜
つまり、耐震補強はBCP(事業継続計画)の一環としても重要なのです。
2. 京都府における建物の耐震状況と課題
京都府では、昭和56年(1981年)以前に建てられた建物が多く存在しています。この時代の建物は、「震度5程度までの地震に耐えられる」ことを前提とした旧耐震基準に基づいて設計されており、近年頻発している震度6強〜7クラスの大地震には対応できない可能性が高いと指摘されています。
特に、南海トラフ地震などの巨大地震は、震源地から遠く離れた地域にも甚大な被害を及ぼすことが想定されており、京都府も例外ではありません。こうした背景から、耐震補強の必要性が年々高まってきています。
京都市の調査データにみる実情
京都市が公表した調査データによると、以下のような課題が浮き彫りになっています。
● 昭和56年以前に建築された建物のうち、約30%がいまだに耐震補強されていない
● 特に工場や倉庫などの「非住宅建築物」では、耐震補強の進捗率が著しく低い
● こうした建物が倒壊すれば、地域の避難路がふさがれるなど、防災機能にも深刻な影響
住宅と比べて、工場や倉庫といった事業用施設は「人が長時間滞在しない」との理由から後回しにされがちですが、実際には従業員の安全確保や事業の継続性(BCP対策)に直結する重要な建物です。
また、こうした大型施設は道路沿いに建てられているケースも多く、地震で倒壊した場合には、緊急車両の通行や避難経路の確保に支障をきたす恐れもあります。
補強の進まない背景とは?
耐震補強がなかなか進まない理由としては、以下のような点が挙げられます。
●補強工事にかかる費用や工期への不安
●そもそも建物の耐震性能がどの程度か分からない
●営業や稼働を止めずに施工できるかどうかの懸念
●補助金や助成制度についての情報不足
特に中小企業にとっては、「大がかりな工事は難しい」「コストをかけられない」という事情がハードルになっていることが多いです。しかし現在では、営業を止めずに短期間で行える補強工法も増えており、自治体の補助金制度を活用することでコストを大幅に抑えることも可能です。
今後に向けて求められる取り組み
今後は、京都府全体で「住宅以外の建物」の耐震化をいかに進めていくかが、大きな課題となります。特に災害時の物流やエネルギー供給を担う施設、地域住民の避難経路となる道路沿いの建物など、社会的影響の大きい施設から優先的に耐震補強を行う必要があります。
耐震診断や補強工事には専門的な知識が必要なため、まずは信頼できる専門業者に相談し、現状を正確に把握することが重要です。そのうえで、費用やスケジュールを踏まえた最適な対策を進めることが、安全・安心な地域づくりの第一歩となります。
3. 耐震補強が必要な建物の特徴
こんな建物は耐震診断・補強の検討が必要です。
耐震補強が必要なケース
• 1981年以前に建築された建物
• 鉄筋コンクリート造や鉄骨造の中規模施設
• 大空間の工場や倉庫(柱が少ない)
• 老朽化によるひび割れ・錆びが見られる
• 屋根や外壁の落下リスクがある
また、リフォームや用途変更時に構造的なチェックを受けていない建物も要注意です。
4. 工場・施設に使われる主な耐震補強工法
建物の構造や使用目的によって最適な工法は異なります。
ここでは代表的な3つの耐震補強工法を紹介します。
① 耐震ブレース工法(鉄骨ブレースの追加)
• 概要: 壁や柱の間に「X字」や「V字」の鉄骨補強材を設置
• 特長: 工場内の稼働を止めずに補強可能
• 適用建物: 鉄骨造、鉄筋コンクリート造の工場・倉庫
② 壁の増設・耐震壁工法
• 概要: 耐震性の高いコンクリート壁やパネルを増設
• 特長: 横揺れに強く、外壁の落下対策にも有効
• 適用建物: 鉄筋コンクリート造、古い事務所ビルなど
③ 柱・梁の補強(巻き立て・炭素繊維工法)
• 概要: コンクリート柱や梁に炭素繊維シートを巻き付けて強化
• 特長: 薄く軽量で作業が早い/内装を大きく壊さず補強可能
• 適用建物: 中規模施設、公共施設など
5. 耐震補強にかかる費用の目安
耐震補強工事は建物の規模や構造により大きく変動しますが、目安として以下をご参考ください。
6. 補助金・助成制度を活用【京都府対応】
京都府および市町村では、耐震診断や補強工事に対する助成制度があります。
京都府(京都市など)の主な制度
• 耐震診断費用の補助(対象建物:旧耐震基準、事業用含む)
• 耐震補強工事への助成金(補助率:最大2/3程度)
• BCP支援補助金(一部市町村により対象あり)
工場や事業所も対象となるケースがありますので、
信頼できる業者に相談のうえ、制度を活用することが重要です。
南海トラフ地震をはじめとした大規模地震のリスクが高まる中、京都府にある工場や倉庫などの施設においても、耐震補強の重要性が一層増しています。万が一の災害時に社員の安全を守り、事業の継続性を確保するためには、早めの対策が欠かせません。
耐震補強の工法や費用は、建物の構造や劣化状況によって大きく異なります。そのため、まずは現地調査・耐震診断を受けることが第一歩です。
また、耐震補強に関する補助金制度も整備されています。上手に活用すれば、コストを抑えて安全性を高めることが可能です。
京都の耐震工事は、京都府城陽市の悠紀建設株式会社にお任せください
悠紀建設株式会社は京都府内を中心に、数多くの工場や事業所の改修、新築、予防保全を手がけてきた総合建設会社です。建物の構造を理解した上で、最適な耐震工法やスケジュールの提案が可能です。
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